2015年度 学園長メッセージ

みなさん、こんにちは。漫画カルチャー学園(MCG)学園長の野田陽子です。
2015年度のご挨拶、今年は私たちがこの場所で 一番大切にしている「原点」のお話をさせてもらいます。
今、世間の「マンガを学ぶ場所」といえば、プロ養成を目的とした厳しい専門学校や、決まったカリキュラムをこなすお教室が当たり前ですよね。デッサンや背景のパースなど、いわゆる「やりたくない基礎」から順番にやらされるわけです。
でも、「プロになりたいわけではなく、ただ推しを描いて自給自足したい!」と、勇気を出して来はった大人の女性に、「まずは丸や直線を引く退屈な練習からですね」なんて、ほんまに無粋なことやと思いません?
せっかくの情熱が、そんな修行のような時間で しぼんでしまうのは少し悲しい ですよね。
決められたマニュアルに沿って「正しい絵」を指導するほうが、実はお教室を運営する側としてはずっと効率的で簡単なんです。
でも、デッサンの狂いを赤ペンで正論ばかり並べて直した結果、キャラクターのエモい表情や、ここだけは絶対に譲れない性癖(フェチ)まで綺麗に消臭されてしまう。そんなもったいないこと、私には到底できません。
「美術的な正しさよりも、大人の女性が背負う業(カルマ)を最優先する」。
これは、マニュアルで効率よく教えたいお教室から見れば、おそらく真似できない、そして理解すらされない非合理なやり方かもしれません。でも、私たちはそれでええんです。
だからこそMCGは、画一的なカリキュラムや基礎の強要をすっぱりと手放しました。それが、私たちの掲げる表現の解放です。
MCGのマンガ教室では、 脳内にある独自の尊い世界観と解釈 を何よりも最優先します。技術というのは、自給自足の業を満たすための、単なる便利な道具に過ぎません。
「どうしても、キャラクター同士の絶妙な体格差の絡みが描きたいんやけど」と沼の底から手を伸ばされた時にだけ、プロの現役講師がスッと的確な技術を差し出し、真顔で優しく伴走する。不要なダメ出しは一切せず、ひたすらに表現したい「尊さ」のツボを一緒に言語化していく。私たちが提供しているのは、そんな無駄のない機能的なシステムです。
無理に背中を押すような方法の強要はいたしません。ただ、競争を手放し、自分のペースで描く世界に没頭できる心理的に安全なサードプレイスを、ここにご用意しています。
もし今、頭の中にある物語を一人で抱え込んで悩んでおられるなら、どうぞ肩の力を抜いて、お越しくださいね。尊い世界を全力で肯定する準備を整えて、静かにお待ちしております。
学園長 野田陽子